英検何級なら英語がぺらぺら話せる?

英会話サプリ

数日間にわたる商談通訳のお仕事が、昨日で終了しました。ほっ。(とはいえ、来週も数日間連続で別の国の商談が入っているのですが。今度はスペイン語圏です。)

今回のクライアントはドイツの企業や自治体、政府の外郭団体のかたたちでしたので、皆さん、仲間うちでは当然ドイツ語です。なので、常に横に控えている私も、通訳をしている時間以外はドイツ語にまみれておりました。

しかし、先日も書きましたが、みなさん英語がとても流暢なのです。その中で、日本人とのミックス(いわゆるハーフの人のことです、英語ではmixedと言います)の方と雑談しました。

彼曰く、今回のメンバーは、世代も若いし、特に英語ができる人が集まっているとのこと。それは私も感じました。以前、ドイツの大手金融機関と日本の大手金融機関の会議で通訳をした経験があるのですが、その時と比較しても、今回のドイツ御一行様は英語力が極めて高かったからです。

ただし。よくよく聞いていると、単語自体はそんなにハイレベルなものを使っているわけではないのです。また、母語に引っ張られるのでしょう、文法の乱れもありました。そもそも話し言葉なので、目的は意思疎通であり、書き言葉のように完璧なセンテンスである必要もない、ということもあります。

では、彼らのどこが優れているか、一般的な日本人と何が違うかというと。圧倒的にレスポンスが早い!たとえば、ドイツ人同士でドイツ語で話している最中に、他の国の人(中国や韓国が多かったです)が製品に興味を持って英語で話しかけてくると、即座に英語に切り替わるのです。とにかく英語を話し慣れている感じで、応答の決まり文句やその場で必要なセンテンスが、間髪入れずにぱっと出てきます。(発音は、アメリカ英語っぽい人からドイツ語アクセントの強い人まで、人によって結構差がありましたが、いずれにせよ英語での意思疎通を妨げるようなものではありませんでした。)

そうした様子を目の当たりにして、やはり、日本人はスピーキングの訓練が圧倒的に不足しているのだな、と実感しました。日本では、ほとんどの人が中学校(最近は小学校)~高校、人によっては大学まで英語というか、いわゆる文法、長文読解と英文和訳、和文英訳を学ぶ結果、日本人は概して読解は得意だし、比較的難しい単語(実際の会話ではあまり使わないような堅い単語、いわゆるbig wordと言われるようなもの)もよく知っています。しかし、その知っている単語を口から出す経験、実際にその単語を使って話す経験値が、全く不足している。英語の4技能(読む・書く・話す・聴く)の中で、「読む」と「書く」(その中でも特に「読む」の比率が高い)に大幅に偏ってしまっている。なので、ほとんどの人が、これだけ長い期間英語を学んできているのに、ほぼ話せない、という、他国からすると不思議な状態に陥ってしまっているのです。学校では文法を最初に学ぶことと、完璧主義、間違いを恐れるという国民性も相まって、「文法的に完璧なセンテンスを」「頭の中であらかじめ組み立ててから」でないと口から出せない、出してはいけない、というスタイルというか、思考、メンタルブロックが染みついてしまっています。

しかし、言語というのはそもそも、人と人の間の意思疎通、コミュニケーションのツールとして生まれたものです。なので、スピーキングから始めるのが一番自然なはずなのです。そして、文法的に正しいかどうか、そして発音というのは、意思の疎通を妨げるほどでなければ、その次の段階で正せばよいことのはずです。

彼らのように英語を話せるには、英検で言えば、2級に合格できる程度の単語の知識があれば、十分可能です。(意外と低いな、と思いましたか?)英検というのは、上位級になるほど big wordが増えていくので、2級の単語を使いこなせれば、実は意思疎通は十分に可能なのです。ちなみに、英検のオフィシャルサイトでは、英検2級というのは、(英語を)実生活の様々な分野で応用できる力を身につけている級で、レベルは高校卒業程度とされています。社会生活に必要な英語を理解し、使用できることが求められます。入試活用、単位認定、共通テスト対策、さらに海外留学や社会人の一般的な英語力の条件として幅広く適用されますと定義されています。それに加えて、実際に話す際には一つの動詞を使うよりも、「動詞+前置詞など」から成り立つ、いわゆる「句動詞」のほうが多用されるので、そちらを覚えること。この「句動詞」指導も学校教育では大幅に不足しています。これらの知識をベースに、どんどん英語を口から出すこと。この訓練が十分にできれば、いわゆる「英語がぺらぺら」という状態になることは十分に可能です。英検2級レベルの語彙力があれば、あとは適切にスピーキングの練習を積むことで、誰もが英語を自由に話せるはずなんです。逆に言えば、たとえ準1級や1級ホルダーであっても、適切なスピーキングの訓練をしておらず、全く話せない人は大勢います。かつての私のようにね…(^^;

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※前述の big word や句動詞の例として、「火を消す」と言いたい時に、難しめの単語(big word)である “extinguish”エクスティングウィッシュ、と読みます)を使って “extinguish a fire” と言うのではなく、頻繁に使われる句動詞 “put out” を使って “put out a fire” と言う、というものが挙げられます。

今回の経験から、あらためて、より多くの日本人を英語が話せるようにするためのカリキュラムを更に磨きこんでいこう、そして、どんどん世の中に提供していこう、と思いました。(それに加えて、何名かの方から、今後も通訳や翻訳を依頼したいので会社のHPはないか、と聞かれ、やはりHPというのは社会的な信用度のバロメーターであること、以前のような法人としてのHPを復活させる必要があることにも気づかされました。さすがにこのサイトやストアカの先生ページを案内するわけにもいかず…。法人HPも頑張って作成せねば!)