って、聞いたことありますか?言語マニアでないと、あまり聞いたことがないかもしれませんね。
先日、私が通訳者として登録している大手通訳エージェントで、ベテラン通訳者による主に通訳者向けのセミナーがあり参加しました。その中で講師のかたがおっしゃっていたのが、「最近の通訳者は言葉を知らない」ということ。具体的には、場面に応じた適切な単語・表現を使えていなくてひやひやする、というのです。誰でも最初は新人なので、知らないことがあるのは仕方ないけれど、そもそもそういう言葉があるという事実すら知らない、あらかじめちょっと調べていたり、意識的に言葉に敏感になっていれば身に着くはずなのに、と憂いていらっしゃいました。
具体的にどういうことかというと、言語学的には、英語の語彙はピラミッド型の3層構造になっていると言われています。一番上がラテン語由来の、非常にフォーマルな語彙。中間層がフランス語ルーツで、一部は庶民が使う言葉になっています。そして、最も裾野の広い最下段が、アングロサクソン系の単語。我々が学校で最初に習うような語彙です。
例えば、「支援」と言いたい場合、最下層の語彙は help、中間層は aid、最上段はassistanceとなります。
一般の人が英語を使う場面、例えば、あなたが外国人の友人と話したり、海外の取引先と英語でやりとりするような場合には、この最下段の語彙で問題ありません。しかし、通訳者としては、最上段の語彙を必要な場合に使えなければプロではない、という厳しいお言葉でした。
そうした失敗の一例として、オフィシャルなスピーチなどで、ある人が裕福である、あるいは貧しいと言いたい場合、rich や poor という最下段の語彙を使うと、日本語でいえば「金持ちです。」「ビンボーです。」という、非常に直接的な印象の、ともすれば幼稚な表現になって、大人の発言として相応しくありません。しかし、実際にそういう語彙を使う通訳者も珍しくないそうです。
では、正しくはどういえばよいのかと言いますと。最近では、富裕な人々のことは loaded や、people with high meansといった表現で表します。言葉は生き物ですが、こうした言葉の変化も、日々英語のニュースをしっかり見ていれば気づくはずなのに、と、講師のかたはおっしゃっていました。
なお、こうした表現を学ぶには、少し下世話ではありますが、イギリスの王室関係の番組や記事(イギリス人は王室ゴシップ大好きですからね)を見ることが有効だそうです笑