とあるビジネスの会議で同時通訳中の出来事です。
わたしはパナガイド(トランシーバーのような簡易同時通訳機器)を使って、いつものように日本語と英語の同時通訳をしていました。
その中で、ある日本人のかたが、その場には居ない、とある人のことを
「いやあ、彼は裸の王様だからねー。」
と評されました。
それを聞いた私は、パナガイドのマイクに小声で訳出しながら、
(なるほど、裸の王様ね。グリムだったかアンデルセンだったか、いずれにせよもともと外国の童話だし、比喩表現として直訳で普通に通じるでしょう)←正解はアンデルセン
と思い、躊躇なく
“He is, like, a kind of naked king, so…”
と訳出しました。
ところが。
それを聞いたアメリカ人のかたが、怪訝そうな顔をされています。
なので、わたしは繰り返しました。
“a naked king, so…”
しかし、彼は
“What do you mean?
A naked king!?”
と大声で繰り返し、会議室は爆笑の渦に!
(や、やばい、これはおかしい…!?)
と感じた私は、訳出を「彼の周りには彼に実情を知らせる人がおらず、状況を把握できていないので」と説明的に訳し直して、なんとかその場を乗り切りました。
会議後、席に戻った私はもちろん、本当の英訳を速攻で調べましたよ。
そうしたら。
“The Emperor’s New Clothes”
(直訳すると、王様の新しい洋服)
だったのです…全然違うやん。ちーん…
こうした物語のタイトルもそうですが、他にも慣用句やダジャレ、映画のタイトルなど、通訳者泣かせのものは本当にたくさんあるな~と痛感した出来事なのでした。
(p.s. あんなに爆笑されたのは…時節柄、皆さんの頭には、「とにかく明るい安村」さんの “Naked pose~” が浮かんでいたのでしょうか…?)