どこまでも「英語ができない」日本人

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フランスのフィガロ紙の、2025年2月7日の記事です

会員になって購読しているニュースのまとめサイト(クーリエ・ジャポン)の記事でずっと気になっていたものがあったので、共有します。ちょっと長いですが、以下が全文です。オリジナルはこちらで読めます。この記事についての私の感想はまた次回に。皆様はどう感じたでしょうか?(ちなみに、トピ画も同記事からの引用ですが、日本のおかしな英語の一例です(;^_^A)

現在進行形で落ち続ける英語力…どこまでも「英語ができない」日本人に仏紙記者「英語を『死語』にする気?」

フィガロ(フランス)

フィガロ(フランス)

Text by Régis Arnaud

2024年11月に発表された、英語力を示す国際ランキングで、日本は116ヵ国中92位と過去最低順位を更新。しかも、若年層の英語力低下が深刻だという。日本人はなぜここまで「英語ができない」のか。その理由を探るため、仏紙記者が日本に暮らす外国人識者に話を聞く。

日本人は英語を「死語」にしようとしているのだろうか──。イー・エフ・エデュケーション・ファースト社による最新の英語能力指数(EF EPI)を見れば、そう考えざるをえない。

2024年、同指数の国際ランキングで日本は116ヵ国中92位。91位は中国、93位はミャンマーだった。地域別ランキングでも23ヵ国中16位と、アジア第2位の経済大国としては驚くべき低さだ。

さらに悪いことに、日本人の英語のレベルは年々落ちている。2014年、63ヵ国のみの統計ではあるが、日本は26位でフランスより3つ順位を前につけていた。それが10年経ったいまでは、フランスより43位も下だ。しかし、もっと悪いことがある。世代別の傾向を見ると、日本においてここ10年で最も英語力を落としたのは、若い世代(18〜25歳)だというのだ。つまり、これは将来、もっとランクを下げることを示している。

日本の主要メディアはこの「国際ランクでの格下げ」に対して、笑って面白がるか不幸な運命を託(かこ)つか、という反応しか示さなかった。日本政府も大規模な教育計画を示すわけでも、反省の色を見せるわけでもない。彼らは翻訳アプリに頼って窮地を脱しようとしているようだ。

一方で、日本を訪れる外国人観光客たちは、次から次へと現れるぎこちない──ときに詩的とさえ言える──英語表記に愕然としている。歩行者に転落の危険を伝える「この先危険、これ以上前に行かないで下さい」という標識は「The future is dangerous, don’t go any further(未来は危険、それ以上進むな)」である。

外国人上司に「オフィスはパニック」

英語力の低さは社会のあらゆる階層で見て取ることができる。まずは上のほうから見てみよう。G7のような主要な国際会議で、どこにでもわざわざ通訳を連れてくるのは日本の首相だけだ。

日常生活でも、英語での会話は良く言ってもお粗末なもので、まったくできない場合もある。ライティングも上手ではない。仕事で日本を訪れた人たちは皆、ホスト側が相変わらず英語を使えないことに驚いている。経営陣の出席するような会合であってもそうなのだ。

まもなく新しい外国人社長を迎えるフランス高級ブランドのある日本人幹部は、「いまの社長は日本人です。次の人が来たら、彼のためだけに会議は英語になるかもしれません。オフィスはパニックですよ」と笑う。

日本では、この10年間で移民の人口も(約210万人から約340万人に)、外国人観光客の数も(約1340万人から3500万人以上に)急増した。それにもかかわらず、どうしてここまで英語力が弱体化しているのか。

それというのも、巨大で成熟したマーケットである日本は、いまだに「グローバルな非識字率」を是正する必要性を感じていないのだ。米テンプル大学日本校のロバート・デュジャリックは、「日本ではすべてが日本語に翻訳されます。医学生が自国語だけで学べる珍しい国の一つです」と語る。

また、日本の学校での英語教育は、「ビジネスやプライベートで実用的なスピーキングよりも、テスト向けのライティングを重視している」と指摘するのは、海外大学への進学をサポートするセルリアンエデュケーションの創立者、ジェイソン・コーディ・ダグラスだ。

「わたしが受け持っている日本人小学生のうち、3分の1は英語をまったく話せません。彼らの親は、TOEFLのために子供に猛勉強させれば、それで問題が解決すると考えています。ですが、米国で学ぶためにはそれだけでは不充分です」

さらに「韓国、中国、日本の若者間でのレベル差は驚くべきものです。韓国と中国の若者たちは英語が下手であることを恥ずかしく思っていますが、日本は違います」と続ける。

日本人は雇用しにくい

これまで軽視され、回避されてきた英語の問題は、おそらく日本がグローバル化に深く参与していくうえでの大きな障害になるだろう。というのも、日本で働きたい、あるいは日本人と一緒に働きたいと望んだ場合、言葉の壁があるために、外国人には途方もない苦労が強いられることになるからである。そして、その逆も然りだ。

「バイリンガルの日本人マネジャーを見つけることは常に非常に難しいんです。状況が良くなっているという印象はありませんね」と在日フランス商工会議所の採用担当、ニコラ・ショベーはそう語る。「日本人のマネジャーは、外国人ばかりが働いている外国企業で仕事をすることを嫌がります。彼らが安心して快適に過ごすために、外国人は日本語を話さなくてはなりません」

「ビジネスの場での日本の魅力を妨げるものを一つ挙げるとするならば、それは英語力の低さでしょう。日本は非常に感じの良い国です。労働力としても優秀ですし、いまは円安で安価に人を雇うこともできます。しかし、彼らが英語を話せなければ、日本人が外国人と一緒に働くことはどうしても制限されてしまいます」と国際銀行協会(IBA Japan)のローラン・デュプスは嘆く。

ある日本のGAFAの外国人幹部は、「社長が英語でメールを一斉送信しても、従業員の3分の1は読むことができません」という。

ウエイターや運転手など、特別高度な資格や技能が求められない仕事であっても、外国人の働き手は言葉の障壁につまずいている。途方もなく難しい日本語を習得できないのだ。

そして、海外にいる日本人にとっても、この「非識字状態」はネックになっている。英語のせいで日本人は非常に雇いにくいからだ。ロバート・デュジャリックは言う。「ウォール街にもハリウッドにも、米国の主要大学にも、日本人はほとんどいませんね」

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